(母乳育児支援研究所顧問 橋本武夫医師) 

母乳と赤ちゃんのむし歯

母乳を長く飲ませているとむし歯になりやすい、といわれますが本当でしょうか?
そもそも虫歯は「糖」と「口の中の細菌」が一緒になってできる酸が歯を溶かすことによって発生する とされています。糖のなかでも特に白砂糖のような庶糖(しょとう)を摂取すると、口の中の細菌は 酸以外に「デキストラン」という粘着性のある物質を作り出し、それがのりのような働きをして 歯の表面に酸が停留し、長時間作用するため虫歯ができやすくなるのです。

母乳にも乳糖と呼ばれる糖が含まれていますが、これはデキストランを作らないため摂取しても歯の 表面に長く酸が作用することがありません。ですからむし歯もできにくいのです。
さらに母乳の中にはラクトフェリンという抗菌物質があり、これもむし歯を防ぐ因子になります。 すなわち母乳そのものはむし歯を予防する働きをしてくれるのです。

しかし母乳を与えていても離乳食が始まり、白砂糖を使ったようなお菓子などで庶糖が 取り込まれるようになると、当然デキストランが作り出され、さらに人工乳よりも母乳のほうが 頻繁に飲むため酸が作用する時間が長くなります。 母乳をだらだら長く飲んでいるとむし歯が多いと言われるのもこのためなのです。
母乳を飲ませていても離乳食やその他の食べ物をうまくコントロールし、ちゃんと歯磨きを してあげればむし歯はできません。

実際にアラスカでは肉が主食で離乳食にかわるものがないため子供たちは二、三歳まで母乳 だけで育てられるのですが、むし歯はほとんど見られないのです。 かつての日本も母乳だけで育てていたころはむし歯の子供は少なかったのです。


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