生まれてすぐの赤ちゃんをお母さんのおなかの上に乗せると、7~8割の赤ちゃんが乳首を探し当てます。 これはヒト以外のほ乳類が乳首を探す行動と類似していますが、 出産後に乳首の乳頭輪域から発散されるにおいをかぎ当て、 乳首の在りかを突き止めて吸い付いているのです。
この乳房から分泌される物質は羊水の成分と同じようなものなので、 母体内で羊水に接していた新生児はにおい(まさにフェロモンなのですが)に 引付けられるものと考えられます。 赤ちゃんは迅速にその特徴的なにおいのシグナルを覚えると、そのにおいだけで 母親を認識できるようになります。 これを「刷り込み現象」といいますが、コンピューターと同じように お母さんを脳にインプットできるようです。
出産直後、お母さんの体内にはプロラクチンというホルモンが1~2時間にわたり 大量に分泌されます。 催乳ホルモン、または母性愛ホルモンと呼ばれ、母性を目覚めさせて赤ちゃんをいとおしいと思う源になるホルモンです。
一方、赤ちゃんにも生後30分をピークにカテコーラミンという神経を興奮させる 物質が分泌され始めます。 カテコーラミンは赤ちゃんの五感を研ぎ澄まし、ぱっちり目覚めてお母さんを認識します。
よって生後約2時間を「新生児覚醒」ともいい、出産後1,2時間は母親と赤ちゃんにとって母子のきずなを深めるうえで 極めて重要な時間だということが科学的に解明されました。 さらに医学的、生物学的にも出産の瞬間から1,2週間は母性の成熟で最も必要な時期といわれ、 この時期は「成母期」と呼ばれています。
幼児虐待、乳児遺棄など「母性愛情欠乏症候群」と思える事件が続出していますが、 「しっかり抱いて、語りかけ、おっぱい」という行為は母と子のきずなの形成に不可欠なのです。
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